【2026年5月】世界フードテックニュースまとめ——今月の注目トピック5選

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フードテックの世界では毎月のように新しいニュースが飛び込んでくる。5月は「撤退・倒産」というネガティブなニュースも混じりながら、精密発酵・マイコプロテイン・代替コーヒーなど新分野の商業化が着実に進んだ月だった。

2026年5月号では、シンガポールの代替コーヒーが日本初上陸・マイコプロテイン企業の大型助成金獲得・細胞性脂肪企業の倒産・JALの精密発酵甘味タンパク導入・FOOMA JAPAN 2026開幕、の5本を解説する。


📌 今月のハイライト3点

  • 🇯🇵 日本:シンガポールの代替コーヒーブランドPreferが渋谷で日本初展開——「脱カフェイン・脱カカオ」が日本に来た
  • 🌏 世界:英Adamo Foodsのマイコプロテインプロジェクトが約18億円の助成金を獲得——欧州で菌糸体ステーキのスケールアップが加速
  • ⚠️ 注意:細胞性脂肪のCultimate Foodsが倒産手続きへ——「培養肉バブル」の後遺症が続く

① 【日本初上陸】シンガポールの代替コーヒーPrefer、渋谷PARKYで提供開始

シンガポール発の代替コーヒースタートアップ・Preferが日本市場に初進出し、渋谷のカフェ「PARKY」での提供を開始した(出典:Foovo、2026年5月)。

Preferが手がけるのは「豆を使わないコーヒー」だ。発酵技術を活用してコーヒーの風味・香り・カフェインを再現しながら、コーヒー豆の調達に依存しない代替コーヒーを開発している。カカオ不足と同様、気候変動によるコーヒー生産地の収量減少が深刻化する中で、原材料リスクをゼロにする発想だ。

今年4月の月次まとめでも取り上げたように、Preferは味の素などとのパートナーシップを発表しており、日本展開への本気度がうかがえる。渋谷という立地は「フードテックに関心のある都市生活者」へのリーチとして最適で、消費者反応を見ながら全国展開に向けた準備を進めるとみられる。

日本への影響:「豆なしコーヒー」が渋谷で飲める時代が来た。今後インバウンド客のSNS拡散でブランド認知が広がる可能性もある。コーヒー好きな読者はぜひ試してみてほしい。

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② 【欧州】英Adamo Foods、菌糸体ステーキのスケールアップへ——約18億円の助成金獲得

英国のマイコプロテインスタートアップ・Adamo Foodsが、欧州プロジェクトで約18億円(1,000万ユーロ以上)の助成金を獲得し、菌糸体ステーキのスケールアップに向けて動き出した(出典:Foovo、2026年5月)。

Adamo Foodsが開発するのは、菌糸体(きのこの根のような部分)を培養して作るステーキ状の代替肉だ。植物性代替肉より肉の繊維感に近く、「最も肉に近い食感」を持つマイコプロテインの中でも特にステーキへの応用を追求している点が特徴だ。欧州ではスイスのPlanetaryも約44億円を調達し、製糖会社向けのライセンスでマイコプロテインの量産化を進めており、菌糸体タンパクが新局面を迎えていることが5月のニュースから読み取れる。

日本への影響:マイコプロテインは現状、日本市場では「Quornの輸入品」以外にほぼ選択肢がないが、欧州でスケールアップが進めば輸入コストが下がり日本展開が現実味を帯びてくる。2028〜2030年頃に日本市場での選択肢が増える可能性がある。

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③ 【倒産】細胞性脂肪のCultimate Foods、倒産手続きへ——事業継続を前提に財務再建

細胞培養技術で動物性脂肪を生産していたイスラエルのCultimate Foodsが倒産手続きに入った。ただし「事業継続を前提とした財務再建」を目指しており、完全清算ではなく買収先・支援者を探している段階だ(出典:Foovo、2026年5月)。

Cultimate Foodsは「細胞性脂肪」という独自ポジションで注目を集めていたスタートアップだ。培養肉の「肉らしさ」を決める脂肪部分を細胞培養で作るという技術は業界内での評価が高かったが、商業化に至る前に資金が尽きた。

フードテックWatcherからひとこと。2025〜2026年は培養肉・細胞性食品分野での撤退・倒産が続いている。Believer Meatsの事業閉鎖(2025年)、Shiok MeatsのUmami Bioworksへの吸収(2025年)、そして今回のCultimate Foods——「技術の証明」から「ビジネスの成立」への壁が想定以上に高い。ただしこうした淘汰は産業の成熟プロセスでは避けられず、生き残った企業の技術・資産が業界全体に吸収されることで底上げにもつながる。

日本への影響:海外の失敗事例は日本の規制当局・投資家にとっても参考情報になる。「だから慎重に」ではなく「だから生き残る企業を見極める目が重要」と捉えたい。

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④ 【日本】JAL、一部国際線に精密発酵甘味タンパク質チョコレートを導入

日本航空(JAL)が、一部国際線機内食にOobliの精密発酵由来の甘味タンパク質を使用したチョコレートの導入を発表した(出典:Foovo、2026年5月)。

Oobliが開発する「甘味タンパク質(スウィートプロテイン)」は、砂糖の数百倍の甘さを持ちながらカロリーがほぼゼロという次世代甘味料だ。精密発酵で量産することで、天然由来の希少成分を手頃な価格で食品に使えるようになってきた。JALの国際線機内という「プレミアム消費者との接点」での導入は、日本市場における精密発酵食品の知名度向上に一役買いそうだ。

日本への影響:「精密発酵を知らずに食べた」という体験が、消費者の受容性形成に効果的なことは代替肉の普及過程でも実証されている。機内食というシーンでの導入はその意味でも戦略的だ。

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⑤ 【日本】FOOMA JAPAN 2026が6月2〜5日に開幕——過去最多1,025社が出展

世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2026」が6月2〜5日、東京ビッグサイトで開催される。出展社数は過去最多の1,025社に達し、食品業界の自動化・DX・フードテック実装への関心の高さを反映している(出典:食品新聞、2026年5月18日)。

今年のテーマは「人手不足・食品ロス削減への対応」が軸で、AI・ロボット・IoTを活用した生産体制の効率化技術が多数展示される予定だ。フードテックが「国の成長戦略の重要分野」に位置づけられたことで、食品製造技術や食品機械への産業界の関心がこれまで以上に高まっている。

日本への影響:飲食業界・食品メーカーの方には足を運ぶ価値がある展示会だ。フードテックウォッチでも現地レポートをお届けする予定。


まとめ——今月のキーワードは「新陳代謝と多様化」

5月は倒産・撤退というネガティブニュースと、代替コーヒーの日本初上陸・JALへの精密発酵導入というポジティブニュースが交錯した月だった。産業の「新陳代謝」が起きながら、新しい分野(代替コーヒー・甘味タンパク)への多様化も進んでいる。「代替タンパク」という大きな括りの中でも、タンパク質以外の成分(脂質・甘味料・風味)への応用が広がりつつある点が2026年の注目トレンドだ。

来月号(6月)もお楽しみに。


【参考・出典】

  • Foovo「シンガポールの代替コーヒーPrefer、日本初の商品展開|渋谷PARKYで提供開始」(2026年5月)
  • Foovo「英Adamo Foods、菌糸体ステーキのスケールアップへ|欧州プロジェクトが約18億円の助成金獲得」(2026年5月)
  • Foovo「細胞性脂肪のCultimate Foods、倒産手続きへ|事業継続を前提に財務再建に着手」(2026年5月)
  • Foovo「JAL、一部国際線でOobliの精密発酵甘味タンパク質使用のチョコレート導入を発表」(2026年5月)
  • 食品新聞「FOOMA JAPAN 2026 過去最多1,025社で堂々開催」(2026年5月18日)
  • Foovo「スイスのPlanetaryが約44億円調達|製糖会社向けライセンスでマイコプロテイン量産化」(2026年5月)

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